「森崎和幸・浩司兄弟のような広告＝比較広告」
　
　広告やパンフレット、雑誌などの表現手法を「サッカー選手のプレイスタイルや人柄に例えてみる」というヘンテコな企画です。真面 目なマーケ論やクリエイティブ論だけでなく、一風かわった切り口は如何ですか？

　さて、今回は森崎ツインズこと和幸・浩司兄弟です。Jリーグや世界のリーグでも兄弟でプレーヤーというケースは結構ありますが、双子で同じチームというのは、なかなか希なケースでは無いでしょうか？サンフレッチェ広島にユース時代から在籍し、現在はトップチームの顔となりつつあります。アテネ五輪は残念ながら揃って出場とはいきませんでしたが、期待の大きい二人ですね。

　双子というのは、生まれ持って比べられる宿命を背負わされていると思いますが、同じ日に産まれた間柄で兄として、弟としての関係ってあるのでしょうか？弟浩司選手は、インタビュー等で「ライバル意識は持っている」と答えていましたが・・。顔は見分けがつきにくいですが、やっぱり違いや特長は出てくるものですね。（二卵性ですし）

　（兄）和幸選手は、テクニックがあり視野が広いので、ボールをキープしたり、精度の高いパスを送り出す、バランスをとって適度にボールをさばいていく、という中盤の要、司令塔やバランサーといったボジション向きのプレースタイルです。（所属チームの広島では、兄弟揃ってフォワードの後ろで影のように動く「シャドー」という役割を左右にわかれてやる時もあります。）

　（弟）浩司選手は、なんと利き足が逆の左なんですね。スポーツ界で重宝される左利きで、ピッチの左側を駆け上がり、ドリブルしたり、クロスボールを出したり、中距離から直接シュートしたりと、左サイドの攻撃のアタッカーとしてのプレーが目立ちます。五輪の代表にも、同じ左足で精度の高いボールを蹴る根本選手を押しのけて選出されました。頑張って欲しいですね。

　さらに、この二人さすが双子、コンビネーションも以心伝心の領域で出来ることが結構あるという・・。スタイルが違って、その上、パスの受け手・送り手の動きが見なくてもわかるなんて最強コンビの予感を漂わせますね。

　ことさら、比べられてしまう双子コンビですが、広告界で比べると言ったら「比較広告」になります。 比較広告は日本では、発達しなかった分野です。お国柄ですね。アメリカでは露骨に相手社名を出して、自社製品との「差」を痛烈なまでにアピールしますが、日本は、「当社従来品」とか「イニシャル」で競合社を隠すという優しい文化土壌です。では、アメリカのように強烈な主張をしたものが大きな宣伝効果 を得られるかというと、自由の国であってもいろいろ知恵をひねってやらないと、やり返され、大統領選の罵りあいのような状況に発展してしまうようです。

　業界トップシェアの企業は下位企業に痛烈な比較をされても「どこ吹く風」と振る舞うのが通 例らしいのですが、あまりにも目に余る比較内容なら黙ってられなくなる場合もあります。だから、相手の商品の特性や持っているイメージもしっかり分析して、「A社は馬だ（馬力がある）B社はライオン（威厳がある）でも、我が社はラクダ（どんな状況に陥っても止まらずに進んでいけます）堅実な貴方ならどれを選びますか？」という風に、相手商品評価もしっかりと表現した上で、適切な比喩のアイディアを盛り込んで自社の特異性をアピールしたりします。

　　日本では、公然と他社さんを叩くのはタブーという気質がありますが、その中でも「比較すれば自社製品の良さを分かって貰えるのに・・・」という時、どういう比較広告を打てば良いでしょう？
　ひとつは、上にもあります「比喩のアイディア」など、ユーモア等を交えて展開すると、相手の怒りに発展しにくくなります。日本では、航空会社が新幹線を「のぞみちゃん」という女の子に例えて、伝言板に「のぞみ、先にいくね！」というのがありましたね。
　他にもフォルクスワーゲンの昔の海外の広告例では、同じ造りの家にすむ隣同士の同世代おっさん二人をモチーフに面 白くつくっています。「ジョーンズ氏とクランプラー氏、それぞれ3,000ドル持っています。→ジョーンズ氏は、3000ドルで赤いクルマを１台買い、納車させました。→と、その隣のクランプラー氏は、冷蔵庫、ガスレンジ、洗濯機、ドライヤー、レコードプレイヤー、テレビ2台を買い台車で搬入しております。→なんと、クランプラー氏、最後に赤いワーゲンまで納車させてしまいました。」と、こりゃ１本取られた唸らせる良い作品です。

　そんな面白いアイディアなど、簡単に出ないと諦めそうになった場合どうすれば良いでしょう？ 自分で比べなければよいのです。世界には沢山の賞やコンテスト、レースがあります。なにも有名な賞ばかり狙わなくても、雑誌の持ち込み企画として「性能比較特集」や「地域自慢ランキング」などで、読者と一体となって盛り上げる方法もあります。比べて採点するのが「自社」だと反感も買いますが、第三者の場合は、そうでもないです。競争や対決などにすると、読者達も面 白がって興味をしめします。ただ、負けない商品でエントリーしないと辛いですね。

　ついつい、サッカーコラムが比較広告論に発展してしまいましたが、森崎ツインズ、長い人生比べられていくのでしょうが、お互いに切磋琢磨してコンビネーションをさらに磨いて欲しいですね。（特に今回落選した兄ちゃんは、攻撃性と力強さをアップして返り咲いて欲しいですね。）

さて、次回は誰がどの広告とマッチングするでしょうか？それでは。

　
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