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「チェックの仕方」
広告の反応が無い場合は…

(2004年11月2日執筆)
 
 今回は、チェックの仕方を掲載してみます。といっても完全私の自己流ですが・・・。広告を打ったがまったく反応が悪い、何が原因なんだと?闇雲にあれこれあがくのは、かえって無駄 も多いと思います。デザインのチェックに関しては相当に専門的になってしまうので今回は抜きにして、私の使用している訴求構成のチェックポイントを上げてみます。

【ターゲット選定】  誰に対してメッセージを投げかけているのか?これがぶれていては、無駄 も多くなります。不特定多数に向けてというのもあるのでしょうが、それは例えば「企業としての宣伝」や「ペットボトル販売のお茶」、「宝くじ」といった地域、世代、性別 関係なく愛用される商品のみ成立するターゲットです。缶コーヒーなどは、CMをよく見ればわかりますが、タレントは圧倒的にスーツ姿です。些細な部分でも誰を意識して作っているのかは分析出来ますね。

  喫茶店のオープンチラシを遠方まで配布しても個性的な店でない限り、足は伸ばしてくれませんし、住宅のパンフレットを遊び盛りのマンション住まいの学生に見せても意味がありません。当たり前のような事ですが、たまに『誰に向けて発信するか』をわすれて不特定に広告を出されている方もいられます。このターゲット選定は非常に重要で、後にでてくる【媒体選定】や表現にも影響を及ぼす機軸ですから、ここがずれていないかしっかり確認する事は大切です。必要としている人に発信しなければお金の無駄 遣いです。

【マーケットの動向】  広告代理店に業務発注したなら、きちんとリサーチ会社のデータを用意し、ターゲット層がこのエリアに何人いて、競合社のシェア率は何%、アンケートやサンプルモニタリングの結果 があれこれと、細やかで的確な情報を出してきます。しかし、それだけのリサーチは、予算も1万2万で出来ませんから、中小企業で制作会社、印刷会社や個人に発注している人は、概算のデータや既存ユーザーの声を元に分析しなければいけません。

 インターネットを駆使したり、図書館で統計をみたり、周囲の人の意見を聞いたりして、既存ターゲット、潜在ターゲットの数を把握します。一概にターゲット層が多いからと喜んではいけません。競合社の状況や、これからの参入企業がどういった形態かなど考えなければ、競争に勝つ事は難しいですし、逆にターゲット層が少なくても競合社がいないのなら、価格競争もせずに、いかに振り向いてもらい上客になってもらうかという戦略もとれます。敵を知り己を知れば・・という諺がありますが、お客様を敵にする事はありませんが、知らないと百戦危ういということになってしまいますね。

【自分が買いたい商品か?他人の視点で見ても買いたいか?】  上の2項目は事業計画書に出てくるような事柄で広告だけの問題でもないですが、この辺から広告としてのチェックも含めていきたいと思います。まず、自社の広告を実際に掲載される形で見てみる事です。折込チラシなら、折込の束の中に混ぜて見る、雑誌広告なら掲載ページをいきなりひらかず、パラパラと読者の視点で特集などを追いながら掲載ページを見る。『パッと見て、心が動くかどうか?』『パッと見て、わかるかどうか?』これは非常に大事です。

 化粧品会社の男性社員など特殊なケースは除きますが、自分のところの製品が心底、「買いたい」「良い物」と感じられるか?このチェックは必要です。心を動かす事の技術的側面 はキャッチコピーとデザインインパクトの出来具合ですが、それだけで片づく問題でもありません。掲載された一つ前のページに似たような広告が載っていたという例もありますし、これは制作サイドではどうにもできません。出版社の広告部も広告は欲しいですから、どんどん各社に広告枠を販売します。それに、他にも問題点はあります。見て心が動かないというなら、商品力や自社の方針とのマッチングに問題は無いか疑ってみる事です。

 新商品を開発したなら、開発中の数ヶ月前から見飽きてしまって驚きが無いという点は差し引いても、他の広告、商品に対して『これはいいな!』があるかないかは凄く大事です。各ページの広告枠というショーウインドーに並べられた中で際だっていないと感じたら、読者は自社に対する愛着ももっと少ないですから、「ふーん、ありふれてる」程度の素通 りも十分に考えられます。作家さんが絵を売る場合も、自分の一番のお気に入りで売りたくなかった作品から売れていくという話があるように、人の好みを差し引いても「良いと感じる物」には、人々は反応します。「自分が実際に買いたくない商品」だったら、他人も買いたくない商品という点を考慮した分析が必要でしょう。まずは自社で試用は基本ですね。周りの人の感想、使用感などは広告づくりに重要なアドヴァイスとなります。

 自社方針とマッチングという点はシェア1位の会社の物真似ばかりしても、自社の考え方とずれていたらまったく意味をなさないという事ですね。Yahooエンジンが有名だから、それと同じ体裁の検索エンジン作ったとしても固定のファンは付いてくれません。1位 企業の良い部分を分析解釈し、自社にマッチングする部分を噛み砕いて導入する方がよいでしょう。例えば、『魚検索エンジン』を運営するなら、様々な魚の写 真やイラストと簡単な説明文も一緒に見せるのも手ですし、漢字の魚の名前をクイズのように掲示していくのもひとつです。カテゴリー検索も料理用、観賞用、釣り用など訪問者の用途別 にするのも方法です。「かわいくて楽しめる水族館エンジン」なのか「親しみのある水族館エンジン」なのか、はたまた「知的で整理された水族館エンジン」なのか様々です。自社の方向性とは結局は、社長さんや経営幹部さんのやりたい事、得意な事、好きな道、進みたい道ということですから、これと外れた方向でのアプローチをしていては、『あの人と同じようにやっているのに、どうして私だけ上手く出来ないの?』とジレンマに陥ります。自然な姿、自社らしい姿で臨むのが後に出てくる【信頼感】にも影響してきます。

【タイミング】  商品の販売には、タイミングがあります。気温が何度まで上昇すればアイスクリームが売れ、ビアホールが大入りになるか、何度まで下がればおでんが売れ出すか。台風の当たり年や痛切な地震被害。こういった自然の摂理的な事から、西武優勝、昨年の阪神優勝、ヨン様ブーム、アメリカなら大統領選など、慣例、流行事例までも、人の心理は色々な事に影響を受けています。また、広告戦略も商品導入期と成熟期では発信する内容が全然違います。

 ファッションほど流行に敏感な商品でなくとも、マーケットは今過熱しているのか、冷めてきているのか、冷静に見極めてアプローチする必要があると思います。CM界はヨン様がひっぱりだこで、ベッカム様も少々かすみ気味です。ヨン様といえば「冬のソナタ」という純愛ドラマ。他にも最近は「世界の中心で愛を叫ぶ」や「一般 人の恋愛模様を追うドキュメンタリーバラエティー」などの番組が増えてました。このヨン様の背景の部分をしっかり見抜く事が大事ですね。今何が求められているのか?それがわかれば、高額なヨン様と契約しなくてもターゲット心理を突けるかも知れません。「今」だからこそ売れる、の「今」ですね。ヴァレンタインデーを考案した人は凄いですが、その波に上手く乗る企業も商売上手ということです。

【媒体戦略】  これは、まずターゲットありきです。地域密着ならエリア誌、折込やポスト投函、特定の層ならターゲットが興味を持つ雑誌、完全な狙い打ちならダイレクトメールというように戦略的に考えていきます。そして表現も媒体特性に合っていなければいけません。新聞広告は比較的文章が多かったりします。活字を読む人が広げていますから、少々の文章を読む事に抵抗の無い人達宛です。そして、新聞の情報は間違った物を載せられません。だから広告審査もあります。信用を高めるメッセージが可能です。

 逆に美容院の支店オープンの場合などは、ヘアファッション誌や近隣エリアへの折込、タウン誌がメイン媒体で写 真が命になります。ヘアファッション誌の場合は競合社と比べられますし、折込の場合は、スーパーの特売やピザの割引券に目を奪われないようにしなければいけません。狙うターゲット層と媒体にズレがないか確認が必要です。必ずしもターゲットの一番の興味とマッチングしていない媒体でも反応を得られるような意外なケースも希にあります。

【表現手法】  表現は上の項目にもあるように、媒体とあっているかというのも重要です。他にも、独自性やアイディア、商品や業種によっては写 真の精度、文章や図解のわかりやすさなどがあります。全くの新商品なら、まず理解してもらわなければいけませんし、見た目の美しさなどが訴求ポイントなら撮影に力を入れなくてはいけません。

 そして、しっかり組立られた構成である事、もっと言えばアクションまでの段取りがしっかりとしている事がなければ、レスポンスは期待出来ません。古いですがAIDMAの法則というのがあります。アテンション(キャッチコピーやデザインインパクトで注意を引く)から始まり、興味→欲求→記憶→アクションと移ります。広告1本のみで完結しないキャンペーンもありますが、特に最後のアクションへの誘導が失敗したら、読まれただけでお終いです。フリーダイヤルは大きく表示、地図はわかりやすく、注文ハガキは書きやすいように、と気をつけておかなければいけない箇所です。

【信頼感】 現在は、ホームページでも販売を行うサイトは法律で住所や電話番号などの表示義務があります。訪問販売では、クーリングオフに関する表記の文字の大きさなども法律で指定されています。悲しい事ですが、それだけ取り締まらないと「いい加減な業者」「悪徳商法」がはびこってしまうと言う事です。そして、消費者の警戒心は更に大きくなっていきます。人間は自分の危険を察知し回避したいという欲求が一番強く働きますから、疑われてしまえば「良い商品」という興味・欲求も吹き飛んでしまいます。そのためISO9000の導入だったり、ブランド力の強化、実績年数、生産者や店長の顔写 真を掲載したり、購入者の直筆のメッセージを掲載したりして信用してもらう事が大事なのです。建前だけでは不可能です。生の声は、地道な努力と共に築き上げられます。

【まとめ】 長々と書きつづりましたが、テスト&エラーにおける分析力、自社製品が他社製品よりも優れている部分を見抜く慧眼、一般 の人の視点に立つ事、自社+製品+媒体+表現のマッチング、「安心して頼める」ように感じて貰えるか?こういったところでしょうか。広告を見終わって『一体これは何だったのか?』という問いにシンプルに記憶として残るメッセージも重要ですね。


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