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「興味を持たせる方法」
本当の言葉、嘘の言葉

(2004年8月24日執筆)
 
 今回は興味を持たせる方法、といっても様々にありますが、原始的だけれど有効な物を紹介します。

 原始的感覚?何でしょう?レストランに入りメニューを睨んでいると、隣の席の人が目尻を下げながらローストビーフをパクついています。湯気が上がり、肉汁がしたたり、表面 のソースのテカりとこんがりした焦げめ、なんともジューシーでありながら香ばしそう。「ちょっと店員さん!私にもあれを貰えないかな?」美味しそうに食べているシーンを目にして興味を触発され、欲求に変化したということですね。

 キリンビールさんのCMの「く〜っ」と飲み干したビールの満足な表情などもそれですね。私個人としても幼少期にこのトリック(?)にかかって「食べてみたい」と触発された記憶があります。まだ、小学生に入るかはいらないかの年代の頃ですが、我が家に白人の夫婦が遊びに来た事がありました。当時の私の家は田舎特有の広い庭(というか草むら?)があったので、みんなで外に出てランチをとる事になりました。我が家のもてなしは一般 的な物だったと思いますが、白人夫婦が持参してきたのが、タッパーに入ったスティック状の生ニンジン、生キュウリ・・・。バーベキューパーティーでもないし、漬物でもなさそう。どうするんだろう?と思っていたら、生のままパリパリポリポリかじり出すのです。子供の私でも生のニンジンの味は知っていましたから、かなり奇妙に感じましたが、連中ときたらまるでカッパえびせんかポテトチップスのように次々手を伸ばしてパリパリ、ポリポリおいしそうにやっているのです。思わず「1本頂戴!」と手を伸ばしていました。もちろん、味は想像通 りのもので渋〜い顔をする子供が食卓の笑いを演出したのですが・・。

 これらの例は、単純に「おいしそう」をそのまま相手に伝えてしまい、周りが触発され行動につながった事例ですが、「食」に限った事ではないです。話題の映画の先行試写 会を見て「もう、泣いた、泣いた」と喋りまくる人、クジ引きの抽選会場で「おめでとうございま〜す!」の大声と拍手、なんだ?なんだ?とのぞきにくる人は結構います。クジなんて一等がでなくても、騒いでいれば、「じゃあ私も」という人は多いですよ。もっと極端な例は、ぽっちゃりした女性がしばらく見ない間に細身に、くたびれ親父だったあの人が逆転大儲け、こういった多くの人が潜在的に関心をもっている事柄で、身近な知人がその成果 を目の当たりに伝えてしまえば、「一体、どうやって?」とかなりの興味と欲求を与える事ができます。

 広告やCMとなると、多くの人に配信するので知人の体験談という訳にもいきませんが、『感動をそのまま伝える』というのは、電波や活字を通 しても有効な手段です。多くの健康食品や美容関係で体験談、ビジネスツールでも導入事例という形でおこなわれている方法ですが、みんなが使う手法だけに落とし穴があります。

 本当の感動メッセージ、体験報告の広告だけなら良いですが、嘘、過剰な脚色、これも残念ながら混じっているのが現実です。消費者は、それだけに過敏に注意深くなっているのです。とくに相手が誰かわからない広告などの場合『怪しい』と思われてしまっては、デメリットになります。いわゆるグレーゾーンとして捉えられる場合は、「商魂」だけが目についてしまう場合、わざとらしく過剰なまでにアピールする場合などが多いでしょう。リアリティーとかけ離れたメリット訴求、「甘い囁き」と捉えられてしまっては損です。宗教や貸金業などは、真面 目な人達も業界に蔓延した「悪印象のの弊害」をかなり受けてしまっていると思います。

 リアリティーがあるかないか、つまり人は真偽の嗅覚がありますから、その人から滲み出る「ならでは」な言葉や自然なスナップ写 真など、「生の声」「本当の言葉」安心を憶えるわけです。例えば、『ご購入していただいた皆さんから、感謝の声が沢山あがっています!毎日のように感謝レター殺到!』というフレーズだけの場合と『探していた品物が、やっと見つかったと本当に喜んでおります。ありがとうございます。』というその人らしい言葉を入れるのとでは伝わる威力も違います。

   ヤフーオークションや楽天ショップなどの評価レビューなどが、生の声の例としてあげられます。人それぞれの捉え方はあったとしても、率直に喋る人、丁寧に喋る人、なかには辛口の人とその人柄は言葉や自然なスナップ写 真などから伝わります。それだけに、演出は演出する部分として切り分け、商品やサービスの良さ、真実をそのまま、その人らしい言葉で伝える事で、人の共感を得られるわけですね。

   ちょっとした事でも良いと思います。お客さんの喜ぶ姿を全く見てこなかった人はいないと思います。(見ていないと言う人は広告以前の問題があります。)処分しようと思っていた商品なので、安く提供したら『うぉぉ!この値段でいいんすか?』と思いのほか喜ばれた。不安と期待の入り混じった入会の問い合わせの電話に『会員の人の年齢は幅広いですが、話し好きの奥さんがいらして、みなさん和気藹々とした雰囲気でやられていますよ』と伝えてあげて安心して入会にこられた。こういったエピソードは、他の消費者も参考材料として大変興味を示すものです。やはり『本物の生の声は強い』につきると思いますが、興味を引く事をひたすら煽るのでなく、安心も同時に提供する気持ちが大切ですね。


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