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「ダイレクトメール」
何も考えず一塁に走った?

2004年7月5日執筆)

 
今回はDM(ダイレクトメール)のお話です。世の中に氾濫しているツールであり、情報を発信する側からは、確実にターゲットを絞り込められる(誰に向けて発信するか受け手が見えている)効果 的なツールと言えます。
ハガキや封書、A4サイズのメール便等沢山の形態がありますが、出せば確実に読んで貰えるという物でもありません。やはり、知恵を絞り、創意工夫、そして努力をしなければ効果 的な成果が望めないのが世の常です。その工夫と努力を掘り下げたいと思います。

 私の所にも「どうすれば、開封して貰えるか?」「何か良いアイディアはないですか?」といった問い合わせがきます。テクニックだけで考えれば、開封・閲覧率の高い物は手書きのメッセージです。(但し。千人、二千人もに手書きは腱鞘炎ですね(笑))他に封筒の素材がピカピカ光っていたり、珍しい紙を使用している物(当然、高コストですね)、景品やサンプルを同梱しているお得感のある物、割引クーポン引換券などのキャンペーン物、香港あたりから出したエアメール、この辺が貰った人に興味を抱かせ開封率をアップさせる方法ですが、私がいつもそれと同時にアドヴァイスしている事があります。「珍しい物を送って、めでたく(なんだろう?)と開封して貰っても、中身がしっかりしていなければ駄 目ですよ!

 興味を抱いて開封したのに、プライベートスペースにまで送り込んできた物が、新聞の下段や折込の「スーツ3点29800円」や電車に吊られている「英会話、スポーツクラブ、今なら入会金無料!!」だけだったら、正直なところ、(これは有り難い)と感じられませんよね。「こんな所まで宣伝しにきて、うっとおしいわねっ!!」といったところでしょうか?期待値が高ければ失意も倍増です。

 直接届ける情報で、普段目にする広告や会社案内のみを不躾に送るのはお薦めできません。広告なんてタダで手に入る、そしてドンドン取捨選択している現状です。だから、心のこもった挨拶文などを同封する、上得意様のみのシークレットメールとする、相手に新鮮な情報、有益な情報を提供する、相手にとって強い刺激のあるアピールをする(価格、商品やサービスの持つメリット、イメージ訴求)などのように、何か中身も工夫することでゴミ箱行きの抑止力になるのです。

 工夫の次は努力です。DMを送ったのに直ぐに目に見える効果があがらないからと失望して、やめてしまうのはよくありません。情報を手に入れた全ての人が購入に結びつく事はありませんが、情報を知らない人が、発信者からの手紙を「イメージや情報」として記憶にインプット(保存)していくことは大切な過程です。しかし、個々それぞれの家庭内や心の内側で収まってしまっているため、全く伝わってこずに「興味を示してくれていないんじゃないか?」とやきもきしてしまうのです。

 例え話にしてみましょう。野球は1塁→2塁→3塁とまわってホームに戻ってこなければ1点が加算されません。一通 の手紙がターゲットに届いて「おっ?ここの店(会社)なにかやってるんだ!!」と認識→保存して貰うので1塁です。ランナーが出たのに、次のバッターは見逃しの三振でチェンジなら、そのままお店の名前ごと忘れてしまうかもしれません。忘れたら、その人が「必要としている情報」ごと消去です。名プレーヤ-なら将棋のように二手三手先を見越したプレーをします。1塁出塁が全ての目的であってはいけないのです。
 「そんな面倒くさい事は嫌いだっ!私は一球入魂、ホームランがしたいっ!」えぇ・・それも、ありますよ。送付した封筒の中に「持参した(全員)にその場で十万円プレゼント」のクーポンを入れておけば、かなりの打率でレスポンスがあるでしょう。その日の試合は勝てても、選手の年俸が払えなくては本末転倒です。もちろん、持参した皆さん十万円目当てです。

 実際問題、興味を抱いて知って貰って(思い出して貰って)「ヒット出塁」です。そこで、相手がわかっているのに不特定多数向けの広告と同じ攻め方をするのはよくありません。まず1点取るためには様々な企画でテストケースを積み重ね、ターゲットデータを分析し、嗜好や動向を調べ、仮説を立て・・・と蓄積を重ねながら、次の塁へと進む(導く)サインを送るのです。そしてその動向を見続けていると「おっ、このピッチャー内角の球が甘いっ!打ちごろだ!(このお客さんは割引には直ぐ反応する、この人は安全性重視だ)」と見えてくる一瞬もあります。そこで、初めてホームラン(一気にホームイン)となるわけです。そうでないホームランは「まぐれ」、2回目に同じ事をして失敗するということになります。 次回もDMの話の予定です。

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