「インパクト其の一」
衝撃の後になにを伝える?
(2004年6月21日執筆)
インパクトのあるポスター!インパクトあるキャッチフレーズ!最近の広告表現で
よく求められる手法です。そもそも東京などのような大都市では、情報の洪水の中で
人々は生活しているわけですから、広告を通じて、消費者にメッセージを伝えよう!
見に来て貰おう!知って欲しい!と頑張っても、沢山の情報の波の中で埋没してしまって、存在すら知られていなかったという事も起こり得ます。現にあなたは、今日投函
された新聞折り込み広告や電車内の吊り広告、番組の合間のCMをどれだけ憶えていま
すか?4つや5つ直ぐに答えられるなら、よく見ている方です。それだけにIMPACT=衝
撃を与えて記憶させる事が必要な訳ですね。
広告は、会社やお店の商品の情報やイベントの案内、その他様々なメッセージを沢山の消費者に伝えていく事が役目です。広告情報が溢れた現状だからと肝心のメッセージをおろそかにして、インパクト、話題性だけをさらっても本末転倒となりかねません。少し以前ですが話題になった広告類では、アイフルさんのチワワなどでしょうか。
消費者金融業は広告に関する表記規制も大変厳しいので、例としては良くないかもし
れませんが、少し分析してみます。
「パパ犬欲しい〜〜」「ボーナスまで待ちな・・」音楽とともに今に も泣き出しそう
なチワワの表情のクローズアップ、ショックを受けた表情のお父さん、「どうする?
アイフル〜」のコール。話題になったのは、もちろんチワワのクーちゃんと演技上手の俳優さん。チワワの独特の可愛らしさと「お父さん、子犬くらいでそんなに深刻な顔をしなくても(笑)」のような面
白味が、友人、知人に喋りたくなる「面白い話の ネタ」になったのでしょう。ではこのシチュエーションでラストに流れるメッセージ
「どうする?アイフル〜」を変更したとしましょう。
ごく普通のナレーションで「不動産ローン、eきゃっシング、事業者ローン等取扱、
全国店舗・提携CDのあるアイフル株式会社、お問い合わせは〜〜〜まで」と流したとして、その内容の全てを憶えてくれる消費者はいるでしょうか?「子犬かわいい〜」
「お父さんが面白い」といった感想は聞けても、「不動産ローン取扱」などは、まったく聞いていなかったといった反応が容易に想像できますね。トイレにたってしまっ
たかもしれません。ナレーションしたにも関わらず「へぇ〜、不動産ローンやってたんだぁ」と言われてしまったらショックですね。最悪なのは「あれって、何処の会社の広告?なんの会社だっけ?」となってしまっては、まるで意味がありません。
この場合、伝えようとしたことが多すぎるのです。「なんだ、そんなことか」って油断はいけませんよ。広告主さんは、売りたい一心でよくこういったミスを起こしがちですから・・。メッセージを受け取った消費者は単純に「かわいさ」や「面
白さ」を味わっています。初めて目にしたときなどは、面白いドラマや劇を偶然見つけて見入ってしまったような感じかもしれません。一種のインパクト=衝撃です。そんな状況なのに、隣の席で「これもやってますよ!じつはここが凄いんですよ!他社との違いは
これですよ!」と鼻息荒く喋りまくっても「ちょっと、うるさいわねぇ!!黙っててよ」となるのが落ちでしょう。まだ、先の情報を知りたいと思う状況に来ていないのですから・・。目立つ作りの広告で見た人に衝撃を与えて記憶させ、話題性や認知度
の向上を狙うのなら、メッセージは一つだけで良いのです。3つも4つも憶えられません。というより聞いて(見て)いません。子犬の可愛さと一緒に自然に記憶していない限り・・・。インパクトを与えるシチュエーションなどのお話しは次回にて。
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